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「仙台のオト」を主題に組曲 作編曲家秩父英里さんと仙台のミュージシャンが共演

仙台の「街の音」を採録し、さまざまな音にちなんだ曲を組曲形式で演奏するジャズライブを聴きました。仙台ジャズギルド主催の「Sound Map ← 2020→ Sendai」。米ボストンにあるバークリー音楽大学を首席で卒業した作編曲家でピアニストの秩父英里さん=仙台出身=が仙台の中堅の演奏者らと共演しました。

「Sound Map ← 2020→ Sendai」に出演した演奏者たちは事前に採録した「街の音」を主題に、4パートから成る組曲を演奏しました。伝統的なジャズのニュアンスだけでなく、現代音楽のような展開、カリプソ的な南国調など、とても楽しめる内容でした。特に賛助出演した仙台フィルのチェロ奏者山本純さんのサウンドは、ジャズライブの楽しさを新たに提供してくれるようでした。

組曲の芯となった「街の音」は、市バスの車内の音、清流として知られる広瀬川の流れをとらえた音、仙台空港の発着音など。「街の音」によって演奏者の何がどう刺激されたのかは、推測することさえ難しいのですが、秩父さんの指示・指揮のもとに繰り広げられるサウンドを聴いているうちに、新しい形の「街の音」が生まれつつあるように思えてくるのでした。

 同時に、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなかで「街の音」を取り上げたことの意味が次第に明瞭になってくるようでした。わたしたちの暮らしがひたすら自粛、活動停止に向かえば、あれほど多様で豊かだった「街の音」が消えてしまう可能性さえあります。そこには、演奏家たちが今こそ、演奏し表現し続けることの意味も二重写しになっていました。

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