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おひとりさまメディア、っていいもんだよ。

仙台のさまざまなメディアの関係者が事例発表する「仙台メディアフェスティバル」が2019年11月23日、仙台市青葉区一番町のフォーラス8階「TAGE」で開かれました。市民参加型のニュースメディア「TOHOKU360」と「TAGE」の共催で、100人を超える来場者で一日中、にぎわいました。仙台メディアフェスティバルは今回が2回目。

TOHOKU360の編集デスク兼通信員(市民ライター)としてTOHOKU360に参加しているので、正確には主催者側あるいはその応援団的な立場ではありますが、個人的なメディア活動である「メディアプロジェクト仙台」(振り返れば新聞社卒業後6年になります)として企画展示に参加しました。

仙台メディアフェスティバルのために設定したテーマは「おひとりさまメディアが面白い」です。展示内容をPDF版にしました。お時間とご関心のある方はご覧ください。「おひとりさま」の言葉を見た人には「寂しそうだ」との印象を与えたかもしれませんが、現職時代を振り返れば、たとえメディア企業に身を置いていても結局は自分一人。組織集団を頼みにするばかりで、まともに課題解決さえできないのではどうしようもありません。

それに対して仙台メディアフェスティバルに参加した多様なメディアの人たちは、大きな既存メディアに比べれば、一人一人の感性や知識、実践力が問われる中で勝負しています。経済的にも恵まれているとは言えないのですが、その着想と、自分たちが設定した目標に向かって進むエネルギーは半端ではありません。

「おひとりさま」の表現はそうした若い世代にエールを送るつもりで考えたものです。もちろん、新聞とネットの双方に軸足を置きながら取材し、編集し、発信し、蓄積・再利用する、大きなプロセスに関して、その都度、自分の周りに起きた、技術、コンテンツ両面にわたる事柄も不十分ながら整理してあります。何よりも、個人的に重要だと思うのは「おひとりさま」で意識的に「メディア」にかかわることによって、仕事やメーンとなる役割以外に「自分軸」が複数できる点です。それらの軸の専門性を時間をかけて高めることによっていわゆる本業へと展開することもありえるし、年齢をいくら重ねても途絶えることのない自分軸に育っている可能性だってあるわけです。

現に仕事を持っているか、これから仕事に就く若い人におすすめなのは、「本来業務」が落ち着いたら、「おひとりさま」で関わるに足るテーマを探すことです。最低限、自分のブログを書き続け、個人メディアとして発信続けるのが望ましい。複数のテーマをキャッチし、時間をかけて育んでいくことで、自分をメディア化するセンスは磨かれます。少なくとも会社人間、組織人間として自らを消耗し尽くすなんてことはありえません。

もちろん、「本来事業」との関係で苦しいこともきっとあるはずなので、そんなときは無理はしない方がいい。どこまでも柔軟に自分本位に続けましょう。

インターネットの登場以来、情報を集め、編集し、蓄積・利活用するツールやシステムは面白いほどに変わってきました。自分にぴったりのツールはかならず見つかります。自分だけの情報環境を組み立てる力を持つことは、たとえばメディアの世界で仕事を見つけるときに有効だし、メディア以外の仕事に就くうえでの基礎的な体力として重要なのは言うまでもありません。

今回の展示では「ブログ」を重要なポイントとしてあげておきました。ブログという表現形式が登場して爆発的に利用される時間を経て、一時は「ブログ疲れ」という言葉さえ聞かれました。どんどん下火になるような雰囲気さえありました。

ところが、Facebookなどのソーシャルメディアが登場してからは、個人的に運営するブログが大きく変質しました。ソーシャルメディアの拡散力は、なるほど注目に値しますが、時間と手間をかけるほどに、そのコミュニティが「仲良しクラブ」的な雰囲気に変化していくことが珍しくありません。

そんなときに、長い時間をかけた自分のブログ環境が一つあれば、コミュニティに参加するにあたって、自分軸に支えられた奥行き、深みを演出する強力な仕掛けになります。ソーシャルメディア時代に意識して「おひとりさま」であろうとすると、人とのつながりはむしろ加速します。そんなに悪いものではないのです。

おひとりさまメディアが面白いPDF版

仙台メディフェス・ビオトープ論PDF版

 

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