Permalink

off

自然体で地域のテーマを追う/西東京市の地域報道メディア「ひばりタイムス」(1)

「週刊ひばりタイムス」のトップページ

通信社OBが70歳になってから立ち上げた地域密着型の報道メディアだと聞いて、創設者で編集長の北嶋孝さん(75)に話を聞きました。西東京市とその隣接自治体を中心に、もっぱら地域ニュースを扱う「ひばりタイムス」。その名前からは、はるか高い天空のどこかで鳴く「ヒバリ」を連想しましたが、北嶋孝さんの言葉からにじみ出るのは、大手メディアがカバーし得ない地域の出来事に密着し、自分の出来る範囲で、地道にしっかり伝えたいという思いです。

「ひばりタイムス」はメディア本体であるウェブのほか、週刊でメールマガジンを発行しています。フェイスブック、ツイッターなど、ソーシャルメディアを活用することで、「ひばりタイムス」の知名度アップや提供するニュースの拡散を狙っています。週刊ひばりタイムス第210号(2019年5月16日)から主なニュースを引用します。

●617日から移動支援の実証実験 地域説明会始まる。
 公共交通の空白・不便地域となっている西東京市の南部地区で、タクシーを活用した移動支援の実証実験が6月17日からスタートする。期間中は農産物と鮮魚の移動販売も同時に実施する。
これらの概要を対象地域住民に説明する会合が5月14日から始まった。最初の説明会は14日、南町2丁目の南部地区会館で開かれた。
都市計画課の説明によると、実証実験の期間は6月17日から9月28日までの3ヵ月余り。対象になるのはおおむね、向台町1丁目、南町2丁目、柳沢2~5丁目の住民。65歳以上、妊娠中、世帯に3歳未満の子どもがいる人が申請して利用者カードを取得すればタクシーに乗れる。
(以下、略)

 ●西東京市教育の重点4施策決まる 「時代の変化に対応した学習環境の整備」を新規追加
 西東京市の総合教育会議が5月14日に開かれた。2019年度の教育重点施策は、これまでの「いじめ・虐待の対策」「切れ目のない支援」「子どもの居場所の充実」の3項目を継続し、あらたに「時代の変化に対応した学習環境の整備」を追加した。
新施策となった「学習環境の整備」は、学校施設の老朽化に対応するとともに、将来的な児童・生徒数を分析して学校施設や学区域の課題を整理し、施設の複合化や小中一貫教育などの視点を含めて検討する。このため教育関係者、保護者、地域住民、学識経験者らによる「学校施設の適正規模・適正配置検討協議会」を設置し、来年初めに予定される報告書の提出を待って市の整備計画を取りまとめる方針。

総合教育会議は法改正によって、市長と教育委員会が協議、連携して教育施策を総合的に推進するために設置。2015年4月に第1回が開かれ、毎年重点施策を決めてきた。

●田無駅ペデストリアンデッキでミニライブ 西東京市芸術文化振興会が5月12日に
 一般社団法人西東京市文化芸術振興会(海老澤敏会長)は5月12日、西武新宿線田無駅のペデストリアンデッキを舞台に、「ペデライブ」と名付けたミニ演奏会を始める。今回は「第0回」と呼ぶプレライブ、いわばお試し版。この経験を9月予定の第1回に生かし、市民主体のライブ演奏会を定期的に開き、地域の賑わいと地元への愛着を育てるのが願い。小さな舞台から、夢が羽ばたく試みとなる。

◆         ◆

「ひばりタイムス」の趣旨に賛同する地域のライターが書いたニュースや特集・連載があります。議会や行政の動きを取材するなど、一定の経験を要する分野や問題については北嶋さん自らが担当しています。自分の立場や考え方をアピールする場ではなく、あくまで地域で起きた出来事をなるべく忠実に伝える報道メディアとして活動しています。

誰もが利用できる「これからカレンダー」を準備しています。地域住民が関心を持ちそうな予定を伝えることで、地域に役立つメディアを目指しています。

北嶋さんは共同通信社を定年前に卒業した後、地域の演劇活動を支援するメディアの編集に10年携わりました。70歳になってから西東京市と隣接自治体をカバーする地域報道メディア「ひばりタイムス」を立ち上げました。2015年2月のことでした。

「誰が読んでも楽しいイベント情報は、いろいろなメディアに掲載されるので、自分は地元の自治体や議会にしっかり足を運ぼうと考えました。インタビューしたいので市長に合わせてほしい、と西東京市の広報にお願いするところから始まりました」

西東京市は東京の多摩地域東部。旧田無市と保谷市が2001年1月21日に合併して誕生しました。人口は20万3千人。大手メディアは取材拠点を置いていないので、ウェブやメール、ソーシャルメディアを駆使する「ひばりタイムス」だけが事実上、地域と向き合うメディアとなっています。

通信社を卒業後、自分の住む地域に目を転じ、地域に根差した演劇活動を支援するメディアからローカルに根差した「ひばりタイムス」の立ち上げへ。振り子にたとえれば振れ幅の大きい歩みです。新聞社や放送局を卒業したOBたちにとっても、参考になる事例といえるでしょう。

「ひばりタイムス」は、主に編集長の北嶋さんが取材するほか、地域の諸課題に関心を持つ有志がライターとして参加しています。メディアとしての特徴について北嶋さんは「目の前で起きていることを淡々と伝えたい。主義主張のためのサイトではありません。起こったことを出来るだけ忠実に伝える地域報道メディアです」と説明します。

以下、「ひばりタイムス」の公式メッセージからの引用です。

ひばりタイムスは、西東京市や近隣で起きた出来事、住民の活動を伝える地域報道サイトです。住民の生活と経験を大切に、マスメディアの網からこぼれ落ちがちな暮らしのニュースを伝えます。住民が互いに交流し支え合って暮らす、これからの地域作りに欠かせない要素だと考えるからです。

ひばりタイムスは、地域のイベントや予定を提供する情報メディアです。市役所や議会の審議会、委員会の日程などのほか、講座やセミナー、集会など住民活動の予定を掲載します。自主的に学び楽しみ、地域を作るツールとして活用できるように心掛けます。

ひばりタイムスは、西東京市在住の有志が始めました。いずれも在京報道機関の記者経験はありますが、地域事情は手探り状態です。住民自身が地域の出来事を発信、報告、記録できるような態勢を整え、地域の報道主体として信頼されるメディアをめざします。

ひばりタイムスは本体のWebサイトのほか、メールマガジン、facebook、twitterなどを利用して、総合的にニュースを発信します。

ひばりタイムス編集長 北嶋孝

(次回に続く)

Comments are closed.