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デジタル編集は面白い

ある社から委託されているネットメディアの編集業務が軌道に乗ってきました。ニュースの選択、編集、発信までを一人で担当しています。完全にウェブ編集なので、作業する場所に縛られません。フリーの編集者にとってはありがたいことです。

デジタル系の編集実務は、一連の過程のどこをとっても、新しい手ごたえ=工夫のしどころがあります。新聞の取材・編集部門や新聞社が手掛けるネット部門に併せて40年も携わってきたので、ニュース編集の基本的な流れ、情報の持つ意味や編集過程で発生するさまざまなリスクへの配慮など、必要なポイントは押さえているつもりです。

とは言え、見出しの調整ひとつとっても、興味深いものがあります。その記事の内容を「見出し」の形であれこれこねくり回すよりも、有効な単語をひとつデンと置く方がよほど効果的な場合があります。

新聞記事の編集ルールが通用しないことも多々、あります。もともと、新聞記事をそのままウェブで読んでもらうには、全体として硬いテーマ、硬い文章が多すぎます。だからと言って、料理や娯楽などのお楽しみ系のコンテンツが、ネット界隈を埋め尽くしていいものでもありません。

「こんなに長かったら誰も読まないよ」

「もう少し長くてもいいからコクのある文章を読みたい」

ネットメディアの編集では、文章の長さがよく問題になります。が、読みごたえのある記事に長短の別はないようです。仮に、ある記事が長すぎると感じるとしたら、それは品質に問題があると考えた方がいいでしょう。

もう一点、デジタルメディアならではの編集実務に、記事の一つひとつに関連情報を付加する作業があります。実際にやってみると、これが非常に面白い。担当者として、面白がっているだけでなく、ひょっとしたら、利用者にも楽しんでもらえるサービスとして開発できるのではないかと思うのです。

ニュース記事を選択後、検索機能を使って、関連情報を丁寧に集めます。検索エンジンの出来によって関連情報の集まり具合は当然、異なるでしょう。検索対象とするコンテンツをどの範囲で定義するかによっても、違いが出てきます。

ブログが登場したばかりのころ、自分が書いた文章を推敲しながら主な言葉にリンクをはるのが楽しくて仕方がなかったのを思い出します。いつの間にか、リンクだらけのブログが出来上がっていました。リンク情報があまりに多いと、その先のコンテンツをたどるのが忙しくて、本文の読解が進みません。

それでも、広大なネット空間を意識しながら関連付ける情報を探し、選択するのが楽しく、「これは文章を読むという行為が大きく変わろうとする現場に立ち会っているのに違いない」と妄想を楽しんだものです。

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