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多様で柔軟な地域メディア世界を妄想する/地域メディア公開編集会議から(その1)

kaigi02 国連防災世界会議関連のイベント「地域メディア公開編集会議」が2015年3月16日、仙台市青葉区の仙台市市民活動サポートセンターで開かれました。編集会議には、仙台市内で活動してきた5つの地域メディアの編集者らが参加。地域メディアの可能性や課題について考える機会となりました。

「地域メディア公開編集会議」は、仙台市市民活動サポートセンター(略称サポセン)が企画、運営を担当しました。サポセンでは地域の情報発信力を高めるため、昨年から市民ライター養成講座に取り組んできました。「地域メディア公開編集会議」はその流れを受けています。編集会議に参加したメディアは以下の通りです。

【震災がきっかけとなった事例】
・仙台発・震災復興地域かわら版「みらいん」(仙台市全域)
仙台市企画局の委託事業として2011年12月に創刊。震災被災者に情報提供するために創刊させれた。2014年度で活動が終了する。
・西原地区住民がつくる「西原(にしっぱら)新聞」(仙台市宮城野区)
仙台市宮城野区中野にある西原町内会のつながりを活発にするためのメディア。編集スタッフ全員が取材・編集を担当している。母体となった町内会が来年3月で正式に解散。9月にお別れ会を開くことが決まっている。
・田子のきずなステーション発行「田子のきずな通信」(仙台市宮城野区)
仙台市の田子地区にある田子市民センターが企画編集している。復興公営住宅などの建設により、同地区には28年度までに700世帯が編入する予定。震災後の新住区のコミュニケーションをはかるためのメディア。市民センターだよりとは独立させ、被災者に寄り添うメディアを目指している。

【震災前から活動してきた事例】
・地域密着の情報共有フリーペーパー「038PRESS(おみやプレス)」(仙台市青葉区)
仙台市青葉区の仙台市立東六番丁小学区を対象とする。オールカラーで年4回発行。まちづくりへの参加を促すメディア。名称は地区内にある仙台東照宮に由来する。企業協賛を積極的に働き掛けるなど自立的に運営している。

・おもしぇぐすっぺおらほのまち「ゆとり~と」(仙台市太白区)
大規模な都市再開発が進む長町地区に愛着を抱く市民が1995年7月にスタートさせた。藩政時代からの歴史、下町としての趣を愛する人々の息遣いが伝わってくる。地域住民に向けたイベントや事業も活発。

「公開編集会議」の詳細は河北新報社のコミュニティーオンラインのブログ「情報ボランティア@仙台」をご覧ください。「情報ボランティア」は、市民との連携を目指す河北新報社の震災関連のプロジェクトの一つで、学生リポーターが新聞社の記者・編集者と連携しながら取材活動に取り組んでいます。

公開編集会議では、東日本大震災をきっかけに生まれた地域メディアが、かつてない緊急事態にどう対応し、どんな役割を果たしたかが浮き彫りになりました。

「みらいん」(仙台市全域)のように、4年間にわたる復興の歩みの中で、一定の役割を終えようとしているメディアもありますが、「田子のきずな通信」(仙台市宮城野区)は、復興住宅の建設などによって誕生する新しい地域のコミュニケーションを深めるためのメディアとしてに企画されています。市民センターが地域住民と連携するタイプのメディアとして取り組みを本格化させようとしています。「地域メディア公開編集会議」のような取り組みを通じて、先行した地域メディアの経験がさまざまな形で受け継がれ、多様な地域に根を下ろしていくことになりそうです。

活発な活動が印象的だったのは「038PRESS(おみやプレス)」(仙台市青葉区)と「ゆとり~と」(仙台市太白区)。この2つの地域メディアは震災前にまちづくりを目的とするメディアとして活動を始めた点が共通しています。

メディアのコンセプト自体がまちづくりと一体になっていて、しかも、趣旨に共感を抱く市民が自主的に集まり、企画・運営しています。公開編集会議では、「東日本大震災の際、さすがに継続できるかどうか心配になった」という声も聞かれましたが、大きな危機を乗り越えることで、編集・発行にかかわる市民のネットワークがより強固になった側面があるのでしょうか。

*写真は「公開編集会議」に参加した地域メディアの数々

(次回に続きます)

 

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