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電子新聞を断捨離しました。

新聞社を卒業してからずっと考えていた「オンライン断捨離」を進めています。利用状況を考えて、不必要なサービスを洗い出した結果、5つの有料契約をやめました。そのうち自分でもあらためて驚いたのが、唯一、契約していた有料の新聞電子版が対象となったことです。

仕事の必要上、契約したものの、ほとんど利用していないサービスの筆頭が電子新聞でした。利用料金がお高めだし、内容にかかわらず月額固定で料金を支払うスタイルは、オンラインではやはり無理があるような気がします。

ソーシャルメディアをうまく使っていると、必要な情報はURLつきで飛び込んできます。何かあれば検索からニュースに直接飛ぶので、新聞社のニュースサイトのトップページを訪問することはまずありません。同様に、ニュースを知りたいときに、わざわざ電子新聞を開く習慣は今後ともつきそうにありません。

断捨離対象になった電子新聞は、コンテンツの更新状況をその都度、メールで連絡してくれます。丁寧なサービスだとは思いますが、オンラインでは、メールが届いたタイミングがいつも本番です。メールで見出しを見て、内容は電子新聞を利用するというモデル自体に無理があります。加えて、メールで「お知らせ」が届くのは新聞社に限りません。自分のソーシャル関係方面を最有力として、ニュースお知らせ系だけでも、数が非常に多くなっています。

仕事や個人的な重要メールを読み落とすわけにはいかないので、よほど関心がなければ、ニュースお知らせ系の多くは見出しを読み流すだけになりがちです。誰しも覚えがあるのではないでしょうか。この新聞社には、連載を個別にオンラインで入手できるサービスも別にあることもあって、大変残念ながら断捨離対象になった次第です。

断捨離効果は、今のところ5件の契約解除で合計15000円(月額)です。

以下、またまた蛇足。

「電子新聞」のありようを考える場合、どうしても気になるのが新聞社のアーカイブです。背筋を伸ばして考えなければならないテーマの場合、どうしてもデジタルを含む書籍系に分がありますが、新聞社のアーカイブも利用価値は大きいはずです。

しかし、アーカイブ事業は、デジタル事業の中でも草創期に始まったサービスのため、まず収益ありきの重苦しいサービスになっています。個人が気軽に利用できるサービスにはなっていません。ニュースとアーカイブの関係を消費者本位の精神で大胆に位置づけし直し、新しいメディア事業体を作る気になれば有望です。

それなのに地方に由来する新聞社まで、新聞事業がいよいよ危うくなってきたときにしか出番がないような「電子新聞」モデルづくりに躍起になっています。資金力も組織体力も消費者ニーズも異なる全国紙の取り組みは、せいぜいが参考程度です。新聞業界特有のデジタルへの嫌悪感や他社の動向にヒントがあると勘違いする癖を何とかしなければなりません。

電子新聞に広告をつけて何とか収入を得たいと考えるむきもあるようです。気持ちは分かりますが、電子新聞を利用する暮らしが地方でも広まらないかぎりそれは無理だし、仮に「電子新聞スタイル」が暮らしに浸透しても、地方新聞社のサイズでは収益事業のサイズになるものでしょうか。インターネット草創期にフライング気味に登場しては消えた、地方新聞社を統合して「広告サイズ」を稼ぐ発想がまたぞろ飛び出すのではないでしょうか。

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